2020年5月29日、早稲田大学の60代男性非常勤講師が、アカデミック・ハラスメント(立場を利用した嫌がらせ)で解任されました。

アカデミック・ハラスメントで早大非常勤講師解任

アカデミック・ハラスメントで早大非常勤講師解任

読売新聞オンラインの記事によると、「2018年度と19年度、国際教養学部の授業で、学生に「早く大学やめろ」「育ちが悪い」などと発言したほか、学生の荷物を蹴ったり、ポケットナイフを自分のあごに当てて発音を指導したりするなどの高圧的な行動をした」ということです。

早大でアカハラ「育ちが悪い」「早くやめろ」…60代講師解任、ナイフ当て発音指導も(読売新聞オンライン)

また、早稲田大学の公式HPにも、「5月29日付で、本学国際学術院で授業を担当する非常勤講師の男性教員1名(60歳代)を解任といたしました。」と掲載されています。

教員に対する措置(2020年5月29日早稲田大学)

これから見るに、今回の件については、事実であることがわかります。

そもそもハラスメントで片付けるべきなのか

しかし、今回の件については、そもそもハラスメントで片付けていいのかは、疑問です。

まず、学生の荷物を蹴るという行為は、どんな理由であれ、正当性が認められるとは考え難いです。

また、もし蹴られたことにより、学生の荷物に損害を受けた場合(たとえば、スマホが壊れたなど)、器物損壊の可能性もあるでしょう。

器物損壊罪(Wikipedia)

さらに、ポケットナイフを所持していること自体、刃渡りにもより、銃砲刀剣類所持等取締法に該当する可能性もあります。

銃砲刀剣類所持等取締法(Wikipedia)

ハラスメントだけで、刑事事件にはならなかったのか、不思議に思えて仕方ありません。

また、2018年度と19年度とありますから、担当講師が長期間このような行為を繰り返していたことが考えられます。

もしかすると、今回の件は、ハラスメントだけで片付けるべきではなかったのではないでしょうか。

「早く大学やめろ」という言葉も、強制退学理由がない限り、大学をやめるかは学生が決めることです。

教授や講師は慎重に選ぶべき

私も大学で働いていた経験がありますが、大学側も教授や講師は、慎重に選ぶべきと思います。

私がいた大学でも、教授の一存で、講師が選出されていたことが多々あります。

しかし、それが果たして正しい人選なのか、はなはだ疑問です。

そういう人選は、教授のバイアスが大きくかけられていることがあります。

今回の件についても、人事にも責任はあると思います。

また、定期的に教授や講師の評価は見直しすべきでしょう。

しかし、そういうことが客観的に出来ている大学があるかは、わかりません。

私がいた大学でも、かなり権力で人選が左右されていたと感じます。

学生たちにとって良いことか

しかし、果たしてそれが学生たちにとって良いことでしょうか。

己の私利私欲だけで、動いていては、学生たちのためにはなりません。

ただ、そういう自分勝手な行動に走る大人たちも多いのです。

今回の件についても、年度をまたいで、問題の講師に任せることなく、もっと早く気づけたのではないでしょうか。

年齢だけでは、判断できない

大学の教授、講師は、年齢で人選することもあります。

どんなに経験やスキルがあろうとも、ある程度年齢がいかないと、人選されないことがあるのです。

特に、主任教授となると、年齢の他にも、他の権力なども左右することがあります。

しかし、今回の早大の件についても、60代の講師が、このような問題を起こしてしまうわけです。

人間は、年齢だけで判断はできません。

いくつになっても、相手に危害を与えて問題を起こすひともいます。

なので、もっと中身の部分で、大学側も人選すべきでしょう。

学校内にある高圧的な雰囲気

私がいた大学でも、縦社会が強く、高圧的な雰囲気は常に感じていました。

しかし、そういう場所にいると、それが当たり前かのように錯覚してしまうのです。

そして、さらには立場が上で、先生という権力があれば、「立場的にえらい」「何をしても許される」と勘違いしている人間も少なくありません。

普通に考えれば、相手の大切な荷物を蹴飛ばしたり、ナイフをちらつかせるのは、ありえないことでしょう。

しかし、大学という独特な雰囲気が、自分という存在を大きく誇張させ、錯覚させてしまうことがあるのです。

なので、ある意味で危険であり、恐ろしい環境でもあります。

そういう傾向が強いからこそ、教授も講師も、大学職員も、フラットに見る意識を強く持つべきです。

私は、大学で働いていたとき、むしろ縦社会で権力意識が強く、高圧的な雰囲気が当たり前で、まるでその方が良いかのように思っている大人たちが多くいたと感じます。

そういう環境では、偏った考えにならざるおえず、学生のためにもならないと思います。

泣き寝入りでは、何も変わらない

泣き寝入りでは、何も変わらない

また、今回の件でも、被害者である学生たちは、相当苦しめられ、また泣き寝入りもしていたと思います。

そういう学生たちに言いたいのは、恐れず、問題が起きたら公にすることです。

このように、メディアではニュースとなり、大きく報道されることもあります。

今は、Twitterなど、簡単に拡散できるSNSもあるので、教授や講師の権力にひるむことなく、不当に感じたら、内部告発しましょう。

あなたの勇気ある行動が、新たな被害者の発生を防ぎます。

何か不当に感じるようなことがあれば、まずは周りに相談しましょう。

それで周りが動かなければ、もっと動いてくれそうな大人たちに相談することです。

学生たちは、お金を払って授業を受けているわけですから、大人の理不尽な言動に我慢する必要はありません。